「からたちの花が咲いたよ、白い白い花が咲いたよ・・・。」 

  音楽の授業担当は松本先生、音楽教室に生徒は移動して授業を受けていました。

  大迫先生にとっては、今考えると、ちょっとした息抜きの時間だったかもしれませんし、ガリバン刷りの時間だったかもしれません。

「からたちのトゲは痛いよ、青い青い針のとげだよ・・・。」 

  ある日、音楽の授業を終え教室に帰ると、「君たち、からたちの花を歌っていたね・・・先生が大好きな歌なんだ。」と大迫先生がおっしゃいます。

「先生も歌ってみたくなったなー」と先生、「歌ってくださーいー！！」と生徒。

  なぜか大迫先生は顔を真っ赤にされ、すばらしいテノールで朗々と歌ってくださいました。今でも耳に残る本格的発声でした。

「かたたちも秋は実るよ、まろいまろい金の玉だよ・・・。」 

  いまでも「からたちの花」は大好きな歌です。テレビやラジオでこの歌を聞くたびに、あの顔を赤くされてはにかんだような、まさに好ましい青年教師、

 大迫　努先生が瞼に浮かび、胸が熱くなると同時に心が癒される私です。

「からたちのそばで泣いたよ、みんなみんな優しかったよ・・・。」